津島神社東鳥居から案内標識に従って、津島神社の神苑を眺めながら鎮守の森の中に入って行くと宝寿院があります。 弘法大師が津島に来られた折、疫病が流行し庶民が苦しむ姿を哀れみ、津島牛頭天王社に薬師如来を奉安し病気平癒を祈願されたと伝えられています。現在の御本尊は薬師如来です。この薬師如来像はもともと津島牛頭天王社の境内にあった本地堂に安置されていたもので、とても古く貴重な仏像だそうです。現在でも「厄除け薬師」として知られ、病気を癒し、災いを消し去る等のご利益が受けられ、信者が供える線香の煙りがいつも漂っています。 江戸時代末までは神仏習合であったため有力神社に神宮寺が併設され、神社の祭礼に僧侶(社僧)が読経することが一般的でした。江戸時代の津島牛頭天王社には、実相院、明星院、宝寿院そして観音坊の4つの寺がありました。明治元年の神仏分離令により、津島神社境内からは仏教にかかわりのあるもの全てが撤去され、現在は神仏習合時代の面影があるものは何もありません。ただ、宝寿院の住職は、神仏分離の際にも「還俗」(げんぞく:一度僧籍にはいった者が、元の俗人に戻ること)せずに、僧侶として仏像・経典・法器類を守り続けています。宝寿院は海東西新四国八十八ヶ所六十二番札所です。 |